★狂犬病とは
狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれることでヒトを含むすべての哺乳類が感染する動物由来感染症※です。有効な治療法がないため神経症状などを発症するとほぼ100%が死に至るとても恐ろしい病気です。
狂犬病予防法が制定される昭和25年(1950年)以前の日本では、多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していました。このような状況のなか狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、わずか7年という短期間のうちに狂犬病を撲滅することができました。
現在、日本では、犬などを含めて狂犬病の発生はありません。しかし狂犬病は、日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生がみられることから、日本は常に侵入の脅威に晒されています。
日本に狂犬病を侵入させないため、犬の飼い主一人一人が狂犬病に関して正しい知識を持ち、飼い犬の登録と予防注射を確実に行うことが狂犬病の発生を防ぐ基本であるということを飼い主の方にはしっかりと自覚していただくことが望まれます。ヒトと犬の大切な健康を守るため、必ず1年に1回の予防注射を受けさせましょう。
※動物由来感染症:動物からヒトへうつる感染症
★日本での発生状況(厚生労働省HPより)
日本国内では、ヒトは昭和31年(1956年)を最後に発生がありません。また、動物では昭和32年(1957年)の猫での発生を最後に発生がありません。現在、日本は狂犬病の発生のない国です。
なお、輸入感染事例としては、狂犬病流行国で犬に咬まれ帰国後に発症した事例が、昭和45年(1970年)にネパールからの帰国者で1例、平成18年(2006年)にフィリピンからの帰国者で2例、令和2年(2020年)にフィリピンからの入国者で1例あります。
★世界での発生状況(厚生労働省HPより)
●年間の死亡者数推計 59,000人(うち、アジア地域35,000人、アフリカ地域21,000人)
その99%が犬に咬まれて亡くなっていると推察されています。
★飼い主の義務
犬の飼い主には、「狂犬病予防法」により3つの義務が課されています。
①お住まいの市町村に飼い犬の登録をすること
②飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること
③飼い犬に鑑札と注射済票を装着すること
※狂犬病予防法の特例制度(犬にマイクロチップを装着し、環境省データベースへの登録申請を行った場合、装着したマイクロチップが狂犬病予防法に基づく鑑札とみなされる制度)を適用している市町村の場合でも、注射済票の装着は必要です。
★狂犬病予防注射を受けさせるには
【集合注射】
市町村が、毎年4月から6月の間に時間と場所を決めて狂犬病予防注射と登録を行っています。
福島県獣医師会は、県内59市町村のすべてと「狂犬病予防注射の実施に関する協定」を締結して、集合注射の実施にあたり協力体制を整えています。
実施時期や場所などの詳細はお住いの市町村にお問い合わせください。
【個別注射】
集合注射を受けられなかったときや他の犬が集まる場所に連れていけないときは、本会会員動物病院が年間を通して狂犬病予防注射を行っていますので、かかりつけの会員動物病院にお問い合わせください。