(事業の目的)
第1条 近年、地球規模での環境汚染や山林の伐採、開発による自然破壊が進行する一方で、野生動物たちは棲息環境の悪化と狭隘化により棲息エリアの変更を余儀なくされている。
また、一部の心ない人間たちによる加害や不法な投棄物等の摂取により、健康と生命を脅かされるなど、野生動物たちはますます窮地に追い込まれている現状にある。
このような環境の中、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律だ88号)に基づいて県内各地で保護される野生動物のうち、搬送中に死亡するものも数多く、初期治療による救急救命処置が重要な課題となっている。
このため、公益社団法人福島県獣医師会(以下「本会」という。)は、福島県と連携し福島県野生動物救急救命医(ERdoctor:Emergency Rescue doctor)の養成及びその活動を支援するため、本事業を実施することとする。
本事業は、本会が実施するさまざまな公益事業の一環として実施するものであり、傷病野生動物一つひとつの生命を救うことを原点として、これらの活動をとおし生物多様性の確保、さらに、環境教育や野生生物の生存権の確立に貢献することを目的とする。
(事業の概要)
第2条 本事業は、次の各号により実施するものとする。
(1)事業の内容
ア 野生動物を診療した獣医師に対する助成
イ 野生動物救護に関する研修会、講習会の開催及び参加
ウ その他本事業推進に関する事項
(2)担当獣医師
ア 本会の会員獣医師であって、本事業の趣旨に賛同し、第1号様式の野生動物救護支援事業登録申込書によりあらかじめ本事業に登録を行った獣医師(以下「担当獣医師」という。)
イ 診療施設を開設している獣医師若しくは同施設に勤務している獣医師
ウ 担当獣医師の登録は、随時受け付けるものとする。
(3)対象動物の種類
疾病又は負傷により保護された野生鳥獣(以下「傷病鳥獣」という。)の捕獲許可を有する福島県地方振興局職員、鳥獣保護管理員及び福島県地方振興局長から傷病鳥獣の一時保護が認められた発見者から診療施設に直接搬入された傷病鳥獣であって、処置後に確実に搬入者による引取りが可能であるものに限るものとする。
ただし、特別天然記念物及び天然記念物に指定されている動物、狩猟期間中の狩猟対象動物並びに犬及び猫は除くものとする。
(4)受託できる事象の範囲と対応
原則として、傷病鳥獣を福島県―野生生物共生センターへすぐに搬入できない場合などで、搬入された診療施設において対応できる応急処置を行う場合に限るものとする。
ただし、担当獣医師の意思で、それ以上の処置、往診又は入院等の設備を利用させる場合はこの限りではない。
(5)診療料金の設定
診療料金は、担当獣医師の判断による金額とするものとする。
(6)診療費の助成
本会は、担当獣医師が診療に要した経費に対し、次の区分により助成するものとする。
ア 初診から終診までを1件として扱い、診療費の二分の一を助成するものとして、その上限額は1万円とする。
イ 同一の傷病で複数の頭羽数を診療した場合は、1件として扱うものとする。
(7)業務報告及び助成金の請求
担当した獣医師は終診後1か月以内に、第2号様式の野生動物救護支援事業業務報告書(以下「業務報告書」という。)を本会に提出し、この報告書をもって助成金の請求があったものとみなすものとする。
(8)助成金の支払
会長理事は、担当獣医師より提出された業務報告書を審査し、適正と認めた場合は助成金を担当獣医師に支払うものとする。
(9)事故等発生時の責任
担当獣医師は、搬入者に対してインフォームド・コンセントを徹底し、事故やトラブル(以下「事故等」という。)の防止に努めるとともに、万一、診療等に起因した事故等が発生した場合には、担当獣医師の責に帰するものとする。
(改 廃)
第3条 この要領の改廃及び定めのない事項については、理事会の議決を経て行う。
附 則
1 この要領は、平成14年7月18日から施行する。
附 則
1 この要領は、平成15年4月1日から施行する。(第4の2)および6)の改正)
附 則
1 この要領は、平成24年11月29日から施行する。(第5削除の改正)
附 則
1 この要領は、平成25年5月9日から施行する。(一部改正)
附 則
1 この要領は、令和7年5月8日から施行する。(第2条削除、第3条一部改正)
2 野生動物救護支援事業実施細則は廃止する。
3 この要領の施行前に実施された野生動物救護支援事業に基づく事業については、なお従前の例による。